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ゴッホが静かに眠る街。
パリに向う日、はじめてほんのちょっぴり雨が降った。それは、イタリアの太陽を思う存分に浴びた私達にとっては、ちょうどいいお湿りだった。
そう言えばオードリーがある映画で「パリに入るなら雨の日がいいわ!」と言っていたのを思いだした。まだローマの休日のオードリー気分がぬけていない・・。
パリの空港に迎えに来たのは、その日のパリの空以上にどんよりとした顔色の悪〜い日本人女性だった。帰りに送ってくれた日本人もやはりとても顔色が悪い男の人だったので、パリに長年住むとこうなってしまうのか?と危惧したものだ。 |
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このパリ旅行で私はやりたいことがあった。まずは美術館巡り。とくにオルセ−美術館でじっくりと印象派の絵画を楽しみ、翌日にゴッホが亡くなった場所、お墓があるオーヴェール・シェル・オワーズに行くことだった。この終焉の地でゴッホは何かにとりつかれたかのように多くの絵を書いている。
オーヴェール・シェル・オワーズまでは電車の直通便がないので、ポントワイズという駅で乗り換えなくてはいけなかった。
少し待ち時間があったので、あまり大きくもない駅をうろうろして見つけたものは・・。 |
駅の前の太い道がなだらかな坂道になっていて、その一番上にそびえる存在感溢れるお城。改札を出るわけにはいかないので、腰をかがめて改札越しにその雄姿に見入った。
小さなオーヴェール・シェル・オワーズの街に着いた時には、もう午後1時半を過ぎていた。 |
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とりあえずお腹が空いた。ゴッホのお墓の方へ行く細い坂の途中に、かわいいビストロがあったので入ってみる。常連と思われるスーツ姿の客が数人、おいしそうにデザートのケーキを食べている。男3人で!
そう、フランスではワインを飲みながらしっかりご飯を食べ、その後にとても幸せそうにデザートを食べる男の人をたくさん見た。女性ならともかく、必ずデザートを頼む姿はちょっと不思議に思えたものだ。
メニューがきたが、フランス語が全く読めないから何をたのめばいいのやら。こんな小さな街じゃ英語のメニューなどあるはずもなし。うーん困った!ふと窓際に座っているおじさんがおいしそうな煮込み料理を食べているのを発見。笑顔が優しそうなお店の人に「あれと同じものを2つ下さい。」と言ってみた。といってもドゥー(2つ)とシルブプレ(お願いします)だけフランス語で、後は料理を指差しただけ。通じた。
「ごめんなさい!もう終わっちゃったのよー。」それは、その日の定食メニューのようだった。「えーどうしよう!」またメニューを見て悩む。よりによって読みづらい筆記体だ。そんな困っている私達を見て、お店の人が厨房にいる人に掛け合ってくれた。にっこり笑ってOKマークがでた。煮込み料理は素朴で優しい味がした。
デザートももちろんいただいた。今度は選ぶのは簡単!テーブルに並んだデザートの好きなものを指差すだけだ。この旅行からヨーロッパが大好きになり、いろいろ食べ歩きもしたが、この時食べたチョコレートケーキがいまでも今まで食べたデザートの中で一番おいしいと思っている。
この街も時間が止まっているかのようだった。緑の葉に覆われて、ゴッホと弟テオの小さなお墓が並んでいる。ゴッホらしい!と感じた。近くにはあの麦畑が広がっている。昨日オルセーで見た絵のシチュエーションそのままの風景が至る所にあった。
あの歪んだように描かれた教会もそのままだった。中に入ると空気が冷たくて、時間の流れがここだけ違うような気がした。
その時、突然アカペラで女の人が賛美歌を歌いだした。私達だけだと思っていたので教会の中にこだまするその歌声に、感動のあまり鳥肌が立った。教会の外に出ると、さっきまで泣き出しそうだった空がウソのように青空が広がっていた。
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