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8年前の7月中旬頃、ウィーンに数日滞在した時は本当に赤い表紙の頼れるやつが役にたった。まずウィーン西駅からメルクまで電車で行き、メルク→クレムス間(約1時間40分)を船で下る。そしてクレムスからウィーン迄電車で戻る。というドナウ川クルーズを予定した。時刻表を眺めていたら、運良くクルーズ船の時刻も出ている。
ちょうどお昼頃メルクに着いた私達は、1時間半弱の余裕があるのを知っていたので、まず船の出る場所を確認後、ゆっくりとランチをいただいた。
| その日はクルーズ日和。肌寒かった昨日までとは打って変わり汗ばむほどだ。オレンジジュースを頼むと「ない。」という返事。変わりにおススメの飲み物を教えてくれたが、何を言っているか?? |
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にもかかわらず思わず笑って「YES」と答えてしまう私・・・。これも日本人の悲しい性?でも運ばれてきた澄んだ黄金色の飲み物は、最高においしいりんごジュースだった。
ジェスチャーは言葉を越え、国籍を越える!
抜けるような青空と心地よい風を受けながら、ユネスコ文化遺産、ヴァッハウ地方のドナウ川クルーズを満喫し、クレムスの街で船から降りた。
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確か電車の出発時間まで後1時間強ある。「余裕余裕。」あまり早く着いても時間を持て余すだけだからと、わかりやすい広い環状道路には出ずに、あまり車の通らない内側の道をぶらぶら行くことにした。
突然目の前にアーチが見えてきた。 |
その先にはテーマパークを彷佛とさせるかわいらしい街並が広がっている。偶然見つけたおとぎの世界、私はウキウキしながら歩いた。ふと時計を見ると、危ない危ないそろそろ駅の方に向わないといけない時間だ。
浮かれて歩いていたから、ここはどこ?状態だ。「クレムス駅に行きたい。」眼鏡をかけた一際まじめそうな男の人に尋ねる。「クレムス???」今度も英語のステーションが通じないの?またまた辞書登場!
男の人は全くわからないドイツ語で話し出した。わかった単語はクレムスとリンクだけ。でも、彼のジェスチャーを交えた説明は、国籍を越えた見事なものだった。
『この道をまっすぐ行くとリンク(環状道路)に出る。リンクを左に曲がってまっすぐ行った3つ目の信号を渡ってしばらく歩くと駅に着く。』彼はジェスチャーでこんなふうに教えてくれた。“信号”を理解するのにはちょっとだけ時間がかかったけど。
彼は手でグーの形を作り、上から下にポン、ポン、ポンと縦一列にグーをおいて見せた。そしてその後で指を3本立てた。『上から下にグーが3つ?』3つ並んでるものって?『わかった!信号だ。』『3つ目の信号と言う意味ね。』日本の信号は横一列だからすぐには思い浮かばなかったのだ。
何度も何度も、私が理解する迄同じジェスチャーを繰り返してくれた彼に感謝感謝!大袈裟だが、ひとつのことを成し遂げたような連帯感があった。
彼の説明は完璧だった。迷うことなく駅を発見し、まだ時間があるからと別な通りを散策しようと駅を背に歩き出そうとした時、大きなクラクションが鳴った。
振り返るとにこやかな微笑みとともに、さっきの彼が車の窓から『駅は向こうだよー。』と手で合図している。私は「ダンケ!(ありがとう)」と叫んだ。
うーん、一期一会の優しさが身にしみる〜。これも事前にしっかり予定を立てることが出来たお陰だ。ありがとう!頼りになるやつ。
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